hiroktsのブログ

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プロダクトファーストな考え方と、エンジニアとして主体的に働くこと

エンジニアとして主体的(アカウンタブル)であることを放棄している状態というのがいくつかあります。

  • 上から言われた仕様や要件を実現させるだけのための技術的な解決方法やスケジュールにだけこだわってリリースすること
  • 別のエンジニアや組織に発注する側である場合、自分たちの要件についての交渉可能性を放棄し、「私たちはあなたたちのこれができていないせいで困っている。とにかく何とかしろ」という態度で望むこと
    • これはそもそも、7つの習慣などで言及されているWin-Loseなコミュニケーションをしている状態であると思います。こんな人とは一緒に仕事はしたくなくなります。
  • アジャイルウォーターフォールといったプロセス論にだけこだわり、プロジェクトの危機的な状況にたいして本当に見える化や継続的改善することに対してフォーカスされていないこと
    • これに関しては、本当にアジャイルなプロセスで考えた場合こういう事態にならないのは承知の上で、「スクラムの約束事やイベントだけを守るといったことだけに拘泥する状態」になっているということです。

こういった状況は仕事をする上では犠牲的つまり主体的でない状態の仕事であると思います。

こうしたことが起こる原因は、もっとマネジメントに関して、プロダクトファーストな考え方にシフトしていないせいではないでしょうか?

プロダクトのオーナーと「要求」には合意している状態で、「要件」については「交渉可能」である状態であるというのが望ましいのではないでしょうか。

つまり、「これをやりたいんだ」ということに関しては合意していて、それをどう実現するかについては交渉可能な状態であることです。

よく例として挙げられるのがオレゴン大学の実験の話です。

dic.nicovideo.jp

こうした状況で出来上がるプロダクトとして、「こんなはずではなかった」とか「かかったリソースの割合にできたものの売り上げが見合わない」といった状況も起こりうるだけでなく、継続的にそのプロダクトをメンテナンスすることに関しても弊害が出るはずです。 「言われたとおりに作ったんだから、なんで改修しなければならないんだ」とかいう気持ちになることはよくあります。

プロダクトオーナーと要件について交渉が可能であれば、少なくともこうした事態は避けられるのではないかというのが個人的な実感です。

前職であるeコマースの会社では元エンジニアであったデータマーケティングの担当者がこうした要求をこちらに伝えたうえで、要件に関してはこちらとの交渉可能性を残してくれている状態でした。

結果としてそのプロジェクトに関して、自分は(プロフェッショナルであるべきアーキテクトに関して)アカウンタブルな状況でのぞむことができ、ある一定の成果を出せたのですが、それは要件の合意について交渉かのうであったことが一番の大きな理由だと思います。

アカウンタブルであったため、シチュエーショニング(その要件や要求を整えるための状況の作成や他のエンジニアとしての交渉)についても気を使うことができ、他のエンジニアに発注する側であったとしても要求の「Why」の部分を伝えることに注力したつもりです。(ただしこれはまだまだ未熟な部分も多かったのですが)

個人個人の働く環境によってこんな交渉が可能な状態でいつも仕事ができるわけではないかと思いますが、エンジニアの成長可能性を一番高めるのはこうしたことが実現されていることが重要な差をつけるものになってくるなのではないかと思います。

そういう意味では、DDDなどの考え方を自然に開発に取り入れられているKRAYさんの取り組みなどには本当に感心させられます。 かかわる人間すべてが同じ言葉で会話できるだけでなく、設計や要件についても善しあしを交渉する足がかかりになっているのではないかと思います。この辺は推測でしかないのですが。

プロダクトファーストな考え方で仕事をするのが望ましいとは思うのですが、「そうは言うが大佐、このプロジェクトは納期だけが決まっているんだ」「オーナーとは交渉する余地がない」みたいなときはどうしたらいいかというと、メンタルだけには気を付けて「仕事は金のため」と割り切りましょう。
その上で「メンタルがやばい」とか「ソウルジェムが濁って魔女化しそうだ」みたいなときは「手を手遅れになる前に」転職先を探したり、よいカウンセリングのサービスでも探すしかないかと思っています。こんな解決方法しか思いつかなくて申し訳ないです。
理想を言えば、以下のスライドにあるようなチームに所属したいですね。 このスライドは本当に素晴らしいです。

speakerdeck.com

とにかく自分の仕事が犠牲的な考え方(他の人のせいで私は仕事ができない)になっているかどうかについては気を付けつつ、基本的には「プロダクト」をよりよくするためにはどうしたらよいか、なんかあったら自分がそのプロダクトに対して責任を持つ(アカウンタブルである)ということを考えながら仕事をするべきです。 自分もそれがまだまだできてるとはいい難い状況なので恐縮なのですが。。。

あと最後に日曜朝にやっていた戦隊ものの特撮番組「トッキュウジャー」の中で怪人が「世の中金だー!」と叫んでいましたが、「お金は大事」です。 これについては自戒も含めて。