カイゼン・ジャーニーと合宿する学習組織の強さ
むきなおり合宿
カイゼン・ジャーニー第16話の「チームとリーダーの境界」では、むきなおり合宿というプラクティスが取り上げられている。
振り返りでは過去の経験を生かして次のサイクルを良くするということができるが、それゆえに今までの方向性にひきづられることが多い。
むきなおりでは、「インセプションデッキ」など、前提になる大元に対しても修正を加えるので、そうした方向性もただすことができる、ということなのだろう。
むきなおりの手順は以下の通り
- ミッションビジョンを点検する
- 評価軸を洗い出し、現状を客観的に見定める
- 評価軸ベースで「あるべき姿」と「現状の課題」を洗い出す
- 「課題解決」のために必要なステップを「バックログ」にする
- 「バックログ」の重要度と、一番効果の高いものを決める
- 時間軸を明らかにし、期限も明確に決める
詳細は実際にカイゼン・ジャーニーを手にとって確認してほしい。
こういったむきなおりに対して「合宿」を効果的に使えることが、カイゼン・ジャーニーの著者ふたりの強さだったり、市谷さんのGuildworksの強さだという感じがしている。
新井さんのこのスライドの合宿のところを見てほしい。
本の執筆のために、10月から2月にかけても4回も合宿している。
市谷さんのスライドでとても印象的だった一節に
忠誠を誓う対象は、 アジャイルでも、 技術でも、 クライアントでも、 ユーザーでもない。 ⽬的に忠誠を誓う。
というのがある。
www.slideshare.net
「目的」にむきなおることのできる「合宿」ができる学習組織かどうか、ということは計り知れないほど重要なんだと思う。
Guildworks社は年に何回合宿しているのだろうか?
そして、その合宿で「目的」に立ち返ることがどれほど成果につながったのだろうか?
合宿と約束されたスクラム大勝利
アジャイル開発プロセスの一つスクラムの起源は、ハーバードビジネスレビューに投稿された論文がきっかけというのをご存知だろうと思う。
その論文の著者である、野中郁次郎さんが2011年の「Innovation Sprint 2011」というイベントで基調講演をなされた。
本当に素晴らしい内容なので皆さんも是非ご一読いただきたい。
その中で、以下のような一節があった。
ホンダの「わいがや」はそういうことなのかなと。三日三晩やり合いながら相互主観性を作っているのかな。三日三晩やり合いながら相互主観性を作っているのかな。よい宿、よい食事、よい温泉が大事で、ちまちました宿では高質の知はできないなと(笑)
スクラムの生みの親といっても良いお方が、「良い合宿」がどれほど大事かを説いていらっしゃるのだ。
カイゼン・ジャーニーの途中ではスクラムをやらなくなってしまっていた事に対して苦々しい思いをされていたスクラム信者の方も多いと思うが、やはりカイゼン・ジャーニーの強さ=「合宿する学習組織の強さ」=スクラムの恩恵といっても差し支えないだろう。
安心してスクラムを信じていきましょう。